五感の色
毎日わたしを取り戻す時間がある。
起床して、何も食べず、まず犬と散歩する。
住宅街から川沿いへ、
社へ、
川から駅へ、
またその後、社へ、
氣まぐれビーグルは、猟犬本能に駆り立てられるように
ふんふんふんふん
地面を嗅ぎ、電信柱を嗅ぎ、葉っぱを嗅ぎ、木を嗅ぎ、石を嗅ぎ、
知らぬ間にかなりの距離をお供する。
どちらが散歩に連れているのか、わからなくなる。
空を仰ぐ。
アスファルトから土を踏む。
落ち葉を踏む。
木々の側を抜け、
草を踏み、
川の流れを聴き、
鳥と挨拶し、
川鳥に見惚れていると、
太陽が登ってくる。
石が湿って横たわる。
朝は大概、光る葉も太陽の光線も
みんな、七色に見えるから、
金、銀、七色が
ツーン
とわたしの目と鼻の間に差し込み
✨ああ、今ここで存在している
とくっきりしてくる。
アスファルトですり減った魂が、
いっきに大自然とひとつになり、
深呼吸する。
朝露に濡れた草の匂い、
木の香り、
土の匂い、
鳥の羽根の匂い、
朝露の極彩色に光る、金と銀の
光線、
太陽光線、
川の流れ、水が落ちる音、
鴨やカラス、トンビの鳴き声、
木々、葉っぱのそよぐ音、
朝の柔らかい風は
ほんとうに優しい。
太陽に温められたからだが、ほころんでくる。
雲はうねり、空は抜け、大宇宙に意識が繋がる。
五感の色を堪能する時間。
ありがたい。
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