ペアワーク
ペアワーク
ひとりの人は、力を抜いて仰向けに寝ます。
足は膝を立てていても、自然に伸ばしていても構いません。
もうひとりの人は寝ている人の右手を掴みます。
ゆっくりその手を真上に上げていきます。
最初は寝ている人のからだはぴったり床に着いていて、腕だけが上がります。
そしてまた腕全体をもとの位置に静かに置きます。
そこで感じるのは、腕全体を床に置くという感覚。
自動的に腕や肩や首に力が入る人は、腕全体を置くという感覚がわかりにくいです。
自分の腕を知らないうちに詰めてしまっているから、重さそのものになる、開放していいんだという感覚を体験してもらいます。
上げるときの床から徐々にからだが離れるという体験と、下ろすとき、徐々にからだを床に置いて行く感覚を味わいます。
次にやはりゆっくりともう少し腕を上げてもらいます。
すると、今度は肩の後ろ、背中の端の方まで床から離れるのがわかります。
ちょうど、肩が上がる頃から首が左に向いてくるのに氣づくはずです。
このとき、からだがなかなか捲れない人は首に力が入っています。
なので、体重が自然に左に移動することに氣づけないのです。
なぜ首に力が入るのか、
腕を上げる人を信頼していない。
過去に肩や首を痛めた経験がトラウマになり、自動的にブロックしてしまっている。
何をするのか、観よう観ようと能動的に観察し過ぎている。
など……。
しばらく保持していると、脱力することによって、からだが重さになり、肩とからだに隙間ができ、肩甲骨の周りのくっついている筋膜が剥がれてきます。
また、ゆっくりと床に背中、肩、腕と置いていきます。
ペアワークの良さは、この一連の動きを腕を上げる人が、上から目で見てからだが剥がれていくときの首の脱力と転がりや腕と肩と胸や肩甲骨の繋がりを感じられること、置くときの下の人の、からだの重み、腕、手と順番に重みを感じられることです。
次にもっと上げてみます。
床から腕、肩、背中が上がりきり体重がどんどん左に移動していくことに氣づきます。
首ももちろん、左に転がっています。
上がりきりでしばらく保持して、また、その奥の背中側の肋骨周りの筋膜まで剥がしていきます。
また、ゆっくりとからだ、肩、腕、手と降ろして行くとき、自然に首が戻り、ぴったりと床に右側のからだが着いているのが感じられると思います。
床の接地面が広いということは、だらんと脱力できている。
寛いで重さになれているということです。
右半身と、まだやっていない左半身の、ぴったり感や重みを感じる違いを観てみてください。
どの辺りで首が動き出し、どの辺りで首が戻ってくるのかを学びます。
また、上の人は下の人の動きを目で重さで自分のからだに体得させていきます。
首がどこで動き出すのかがわかれば、寝返りを上手に打てますし、からだを横にして起き上がることもスムーズになります。
なんといっても、頭は一番重いですから、首がスムーズに動いてくれなければ、からだは残り、方向が変えにくいのです。
また、首が先行していても上の人にからだを預けたことにはならず、自分でやっているのだから、楽な動きを学んだり、まさにからだの方向が変わるタイミングを学ぶことにはなりません。
こういった寝転んだワークは立っているときの方向転換にも、とても役立ちます。
また、上半身を充分に上げきると、右股関節、右腰までが上がってくるのに氣がつきます。
からだ全体が小舟のように手から腕、肩、背中、腰へと連動していく様を楽しみます。
何度体験しても、わかってる、知ってる!
と自分のからだが反応していないのに、自発的に動かないことが大事です。
これを左でもやると、
からだがぴったりと、床に着く、自分の重さを味わうことができます。
自分でからだを動かすだけでなく、動きを視ること、からだの重みを味わうことはとても大事なことで、
視る、体験する、味わう、動かす側に回ることで、全体を学び、氣づき、それがその人の経験に納まるのです。
こんな、シンプルな動きで、からだを手放すこと、つまりは不必要な力みを手放すことができるのです。
悩み事を聞いたり、打ち明けたり、泣いたり、怒らなくても、
からだと共にそのとき、その人は開放されたひとときを過ごすのです。
✨✨✨
そして、交代。
今度は寝ていた人が手を上げる人になります。
わたしはこういったペアワークの時間をたっぷり取ります。
動きたいだけの人には氣の毒ですが、こういった自分のからだとの交流や相手に委ねる体験は、氣づきを齎したり、情緒を穏やかにさせたり、心身ともにゆったりするので、
つまりはダイエットにも繋がってきます。
ペアワークでしか、できないことがたくさんあります。
からだを動かすだけなら素晴らしいビデオもありますし、それを見て励むこともできますね。
でも、こういったペアワークは一人ではできない。
温かさや重さを感じ、人のからだを大切に扱う。
人間のからだは、助け合うようにできています。
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