振り返ってわかること (ノネナール)
25年くらい前だったか、ブヨウフェスティバルで、
【ノネナール】という作品を創作し上演した。
車椅子を使い、車椅子に乗ったり押したり、
スクリーンには子どもの絵や犬の動画、風車などを映した。
この作品は東京でも再演となり、
作品創りに格闘した日々を思い出す。
ノネナールというのは、フランス菓子みたいにエレガントな響きとは裏腹な、
加齢臭という意味。
👴🧓
昨日、ある病院に訪れた。
受付へ行き、待合室の椅子に座ろうとした瞬間、
ノネナールに包まれた。
これ、わたしから出てる?
着ているコートやスカートを、
思わずフンフンしてしまった。
高齢者が増える一途の昨今、
そりゃあ病院はノネナールの宝庫だろう。
しかし、そのときはその病院の刷物や、本、額の文字などに目が奪われ、
加齢臭がする✨
だけが見えていた。
一日寝かせて今日になって氣が付いたことがある。
それは、きっと他の病院でもノネナールの存在は年々幅をきかせていただろうけれど、
なぜその病院で、強烈にそれを感じたか?
🌿 🌿 🌿
漢方医のところに行けば、生薬の臭いが漂い、ときにアロマが炊いてある。
歯医者では、口の洗浄液やホルマリンクレゾールの臭いがしている。
内科や外科でも、消毒液やケミカルの臭いがしている。
(今は空氣清浄機が回っている病院が多く、
薬品の臭いも薄らいではいる)
一方、昨日訪れた病院の
人間の臭い✨
実家に両親がいたころの臭いであり、
バスの優先座席の臭いでもある。
🌲🌳🌳🌲🌳🌲🌳🌲🌳🌳
昨日行った病院は基本的に、ケミカル系の薬を出さない。
それに変わって
栄養指導をしたり、ある種のヒーリングをされ、
ホリスティックな見地からひとのからだを観ておられた。
🤱👱👶🧓👴🤵
人間が待つところなんだから、人間の臭いがするのは当然。
子どもならビスケットのように甘あく、お日さまとシッカロールをごちゃまぜにしたような臭いだし。
高齢者はノネナールに、尿やケミカルの臭いが混ざっているときもある。
成人女性の臭い、
思春期の臭い、
青年の臭い、
中高年の臭い、
それぞれある。
今、消臭ムードが高い中、
なんのフレグランスも置かない
その病院には、
懐かしい空氣があった。
🛌
ひとが自宅で亡くなるまでの臭いの変化、
料理していたときの部屋の臭い
花を活けていたときの部屋の臭い
子どもを育てていたときの部屋の臭い
小さな孫が遊びに来ていたときの部屋の臭い
ひとりになったときの臭い
寝たきりになっていったときの部屋の臭い
ポータブルトイレと介護ベッドが入ったときの部屋の臭い
自宅で亡くなった両親の家の臭いはずっと変化してきた。
昨日の病院は、病院ではなく、
ひとの家に訪れたように感じた。
妙に綺麗過ぎず、無味無臭の反対側にある、
生
そのままを感じた。
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